優駿 上巻の見どころとネタバレ

優駿

このページでは、競馬小説の王道とも言うべき『優駿(上)宮本輝 著』をご紹介します。

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北海道静内にある家族経営の小さな牧場トカイファーム。そこで生まれたハナカゲが競争生活を終え繁殖牝馬として帰ってきた。ハナカゲはエリザベス女王杯GⅠで1番人気になったほどの実力馬でトカイファーム期待の繁殖牝馬だ。

しかし、期待も裏腹に2年も未受胎が続いたハナカゲ。種付け費用など大金をふいにした結果、牧場経営が悪化、今年こそは種が付くようにとシベチャリ川のほとりで跪いて祈る博正ひろまさ

後世にまでその名が残るほど、速い強い馬が生まれますように……

博正の祈りが通じたのか、アメリカから輸入された高額種馬ウラジミールの種が付き、四月半ばに産気づいた。今夜にも仔馬が誕生しそうだという。

トカイファームの経営者である渡海千造とかいせんぞうと息子の博正は大慌てで準備に取り掛かかる。しかし、今夜は大阪からの来客予定もあった。

客のもてなしどころじゃねぇよ――博正は、そう思いつつも来客は、これまで千造が生産した競走馬を何頭も購入してくれた大事な馬主で和具工業の社長、和具平八郎わぐへいはちろうと娘の久美子くみこである。

今夜が徹夜になろうと昨今のサラブレッドが売れない時代にとって、大事な来客であり疎かにはできなかった。

博正と同じく今春、高校を卒業したばかりの久美子は、都会育ちのお嬢様。田舎育ちで競走馬の歴史を語る博正の話に興味津々、全てが真新しかった。そして、ハナカゲの御産に立ち会い仔馬が誕生する瞬間を目にする。まだ、へその緒がつながっている額に四白流星をもつ綺麗な黒鹿毛の牡馬がゆっくりと立ち上がった。

その後、名をオラシオン(スペイン語で祈り)と名付けられた、その仔馬の成長とともに時は流れていく。目指すは3年後の日本ダービーである。

その反面、病院で人工透析を受けながら療養中の誠(隠し子)を持つ平八郎。腹違いの弟の存在を知った娘の久美子。平八郎の秘書として裏では誠の世話役で動く多田時夫ただときお。結婚して約十年、自身には子ができない中、誠の存在を金で解決し蔑ろにする平八郎に対して多田はもどかしさを抱いている。

また、夏頃になるとオラシオンが走る(活躍する)と評判になり、馬主となった平八郎に群がる関西の大厩舎である調教師の増矢武志ますやたけしとその息子で若手騎手の光秀みつひで。光秀は久美子に好意を寄せ、久美子は毛嫌いしていた。しかし、オラシオンは増矢厩舎に入厩予定となった。

絶望する久美子がオラシオンに会いに北海道を訪れた際、日本一の大牧場、吉永ファームに足を運んだ。そこで将来的にオラシオンのライバルになるであろう1頭の仔馬と出会う。その仔馬も増矢厩舎に入厩予定であった。久美子の心境は複雑に陥るのであった。

騎手の奈良五郎ならごろうは、なかなか勝ち星を挙げられない三流騎手だったが、ようやくクラシックを狙える競走馬ミラクルバードと出会う。しかし、皐月賞前に乗り替わりを告げられる。乗り替わった騎手は、奈良と同期の寺尾てらお。まさに実力がものをいう世界。だが、奈良は納得ができず寺尾にミラクルバードの癖など嘘の情報を告げた。そんな中で迎えた皐月賞でミラクルバードが転倒、安楽死処分となり、寺尾も帰らぬ人となった。自分が殺したのだ。と自身を攻め続ける奈良は、自分もターフの上で死ぬため日本一の騎手になることを決意する。

オラシオンを取り巻く環境下に生産者、馬主、調教師そして騎手といった様々な人間の宿命が絡み合う中で密かに久美子に思いを寄せる博正とオラシオンは成長していく。

下巻に続く。

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約30年前の作品ですが、今になって読んでも全く違和感がない作品です。映画化にもなった本作品。競馬好きはもちろん、そうでない方も競走馬を通しての複雑な人間模様に胸を熱く打たれます。

 

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